似非家族
「っ……!!」


ズザッ


「って、おい!?」


俺が言い終えると、崩れるようにしゃがみ込む女。

どうしたのかと合わせるようにしゃがみ込むと・・・


「おっま……何泣いてんだよ!?」


そりゃあもうピーピーと……。

別に殴られてねぇから怪我とかしてねぇよな……?

何だ何だと思っていると、女が口を開いた。


「こっ……」




「怖かった……ですっ。」




「……そうか。」


そういやそうだよな……。

俺はいつの間にか慣れっこになってたが、普通は殴られそうになったりしねぇもんな……。

そう思うと、この女マジでスゲーなとか、なんか色んな感情がこみ上げてきて、俺は無意識に女の頭を撫でていた。

すると……


「……泣きながら笑ってんじゃねーぞ?」


不思議そうに俺の顔を見たかと思うと、女は涙を流したまま微笑んだ。


「す、すみませっ……だって刈谷さん……」




「やっぱり……優しいです。」
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