似非家族
「……ありがとよ。」


ったく、コイツらといると感情の起伏激しくなって困る……。

まぁ、それが面白いと思ってんだけど。


「それで、私たちの名前は覚えてるんでしょうね?」

「あ?えーっと……」


お嬢ちゃんに言われ、初めて会ったときの自己紹介合戦を思い出す。

たしか……


「お嬢ちゃんが、愛美だろ?」

「そう。」

「ヘタレで天然のクソガキが……バカズシ。」

「ば、バカ言うな!それにヘタレでも天然でもない!!……はず。」

「そんで、地味でとろくて田舎っぽいのが文子。」

「うぅ、合ってますけど……。」


ちゃんと覚えてた自分を誉めてやりたいぜ。

まぁ、かなりインパクトあったからな……。


「じゃあ、家族ごっこの仲間入りっつーことで。」

「ごっこなんかじゃないわ。」

軽く言うと、お嬢ちゃん……愛美が、不適な笑みを浮かべる。

「偽物になんか興味ない。私たちは……」




「本物になるのよ。」




「……上等だ!」


この時の俺は、家族なんて知らなかった。

だから思ったのかもしれない。




“コイツらといれば、わかるかもしれない”と……。




こうして、俺たち4人の家族物語が始まった……。
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