似非家族
「文子さん、野菜切り終わった。」

「は〜い、ちょっと待ってくださいね!」


家族が揃ったあの日から、私は文子さんと食事の支度をしている。

今日の夕飯は夏野菜カレーだ。


「愛美ちゃん、野菜切るの上手になりましたね!」


私の切った野菜を見て、嬉しそうに文子さんは言った。

ママがいなくなってから、食事はコンビニやデリバリーが当たり前になっていたためか、初めて文子さんと料理したとき、野菜もろくに切れなかった。

けれど、文子さんに教わりながらやっていくうちに、段々まともになってきたようだ。

慣れもあるのかもしれないけれど、やはり保育士さんを目指しているだけあって、文子さんは教えるのが上手い。


「では、私の炒めたお肉と一緒にしま〜す。」


そう言うと、私の切った野菜を鍋へと移す。
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