似非家族
楽しそうに料理している文子さんを見ていると、ママのことを思い出す。

ママは料理がとっても上手で、私はいつも隣でママが料理している姿を眺めてた。

『大きくなったら愛美が作ってね』ってママは笑って。

だけど……




だけどママは……




「愛美ちゃん?」

「!」


文子さんの呼び掛けにハッとなって我に返る。


「そろそろお味見をと思ったんですが……大丈夫ですか?」

「うん、平気。」


心配する文子さんにそう告げて、私は差し出された小皿を受け取った。

そこに、文子さんが少量のカレーを流し込む。

フーフーとカレーを冷まして、そっと口の中へ。


「ど、どうですかね……?」


文子さんは味見のときになると緊張気味だ。

でもなんだかわかる気がする。

誰かと一緒に料理するのは、やっぱり楽しい。

そして、出来上がった料理が美味しかったら……嬉しい。

「うん……」




「美味しい。」
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