似非家族
「あ〜、そっかぁ……うん。そうなんだぁ……。」


彼は明らかに傷付いていた。


「私、人の名前覚えるの苦手なの。」

「あぁ、うん。解かるよ、なんとなく……。」


一応フォロー……というか、事実だけれど。

それにしても、解かるんだ……なんとなく。


私って、そんなに解かりやすい……か?


「それはそうと!米倉はこんな時間にこんな所で何してんの……?」

「君こそ何してるの?」


質問に質問で返すと、彼は明らかに困った顔をした。

……私なんかより、彼の方が絶対に解かりやすいと思う。


「えぇっと……まぁ、ちょっと色々あってですね……。」


私は、しどろもどろな彼の隣に座り込んで訪ねた。


「もしかして……」
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