似非家族
「パパとママ、みつかると良いね。」

「う、うん……。」


彼女に引っ張られてやって来たのは、人が行き交う大通りだった。

色々な人とすれ違う中で、彼女はキョロキョロと辺りを見渡す。


家族捜しの始まりだ。


それにしても、そんな簡単に見つかるもんなのか?

俺と彼女は、たまたま家出して、たまたま出会った訳だし・・・。

それに、大人は家出しないんじゃ……?

……なんか俺、かなり冷静じゃない?

さっきまでの有頂天ぶりが嘘みたいだ。


「和四。」

「へ?」

「何ボーッとしてるの?和四もパパとママ捜して。」

「あぁ、はい……。」


やっぱり俺、振り回されてる……?

でも……




“そんなのも悪くない”なんて……




やっぱりバカなのか……俺。
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