似非家族
「なかなか見つからないね……。」

「そうね。」


結局、夕方になってもピンと来る人は現れない。

やっぱり無理なんじゃ……


「ねぇ……」




「もっと遠くに行こうか。」




「え?」


彼女の発言に、少しビビる。


「と、遠くって……?」

「電車に乗って隣町まで行こう。」

「で、電車乗るの……?」

「家出ってそれくらいするものじゃない?」


そ、そうなのか……?

俺の家出って言ったら、近所の公園で野宿か、友達んち泊まるか、ゲーセンで時間潰すかで……。

本格的な家出なんて……!!


「ほら、行こう?」

「え、ホントに行くの……?」

「当たり前でしょ?」


有無を言わさぬ彼女の目線。

到底かなうはずもなかった……。
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