似非家族
「本物……?」


きょとんとしていると、愛美ちゃんは静かに語り始めた。


「私にはパパとママがいました。3人はとても仲の良い家族でした。でも、小学生の時にママが事故で亡くなって……」


小学生……。

それは、あまりに唐突だったことでしょう。

人の死を受け入れることは容易いことではない。

この子はそれを、小学生の時に受けとめた。

……受けとめなければならなかったのでしょう。




「歯車が狂いだしたのは、その時からでした。」
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