似非家族
「そんなパパと私は、本当に家族なんでしょうか?」


問い掛けられ、言葉に詰まる。

家族って……




何なのでしょう……?




「私は、違うと思うんです。血が繋がっているから家族なんじゃない……」




「心が繋がっているから……家族なんだと思います。」




「……そうなのかもしれません。」


考えてみれば、両親と子供の間には血の繋がりがあるけれど、両親……つまり、夫婦の間に血の繋がりはない。

それでも夫婦は“家族”だ。

だとしたら、夫婦の間には何があるのでしょう?

それは、彼女の言うように“心”なのかもしれません。

心があれば寄り添って、なければ離れていく……。

会えなくても、心はずっと離れない。

例えば野菜を送ってくれる両親と、それを受け取る私のように……。


「だから私……」
< 61 / 138 >

この作品をシェア

pagetop