似非家族
「本当の家族を見つけたいんです。」




強い意志を持った瞳から、目が離せませんでした。


「家を出て……お父さんは心配しないのですか?」

「パパはメールさえ返せば気付きません。」


失笑するような言い回しが、やけに悲しい。


「私、クレジットカード持ってるので、お金で迷惑掛けません。だからお願いです!私をココに置いてください!!」

「そんな事しなくて良いですから!!」


その場で土下座する愛美ちゃんに、私は必死に頭を上げるよう言った。


「愛美ちゃんの事情はわかりました。けど、和四くんは・・・?」

「お、俺だって同じようなもんだよ!俺んち大家族だから、1人いなくなったって誰も気にしないんだっ。」


ふてくされるように言う和四くん。

事情は違うにしろ、2人が家族の心を感じられなくってしまったんだということは、私にも理解出来た。


「お願いします!」

「俺からも頼む!!」


懇願する2人の声を聞きながら目を閉じる。

そして……




「……わかりました。」
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