似非家族
そっと目を開けて、2人を見据える。


「私が……」




「私が2人のお母さんになってあげます!」




「……!!」

「マジで……!?」


コクンと頷くと、2人はとても喜んだ。


「ただし、条件があります。」
「?」

「な、何……?」


一転して不安そうな顔をする2人に、私はこう告げた。


「もし、お家の人が家出に気付いたら……」




「その時は、ちゃんと帰ること、です。」




「……それだけで良いんですか?」

「はい。」


微笑んで答えると、2人の顔も綻んだ。


「ありがとうございます……」




「ママ!」




「まっ、ママ!?」

「だって俺たちの母ちゃんになるんだから!なぁ?」

「そ、そうですけどそれはちょっと……ご近所さんの目もありますし。せめて文子さんと呼んでください!」


2人は、少し不満そうにしながらも承諾してくれた。


「それでは、夕飯の続きをしましょう。2人とも、たくさん食べてくださいね!」


そう言うと、2人は素直に返事をした。

そんな様子を見て、私はなんだかホッとしていた。
< 63 / 138 >

この作品をシェア

pagetop