似非家族
「私は米倉 愛美。“愛は美しい”と書いて愛美。」

「いや、聞いてねぇし……。」


いきなり自己紹介を始めるお嬢ちゃんに面食らう。

それに続けとばかりにガキが言った。


「お、俺は渡辺 和四!父ちゃんの名前と兄弟4番目って意味を足して和四。」

「なんか安易な名前だな……。」

「うっ、うっせーな!」


ったく、キャンキャンとよく吠えるガキだな。

面倒なので目を反らすと、今度は女と目が合ってしまった。


「わ、私は羽村 文子ですっ。“文の子”で文子・・・。」

「見た目の地味さに負けず劣らずなババくせぇ名前してんな。」

「ばっ……!!」


何なんだこの自己紹介合戦は……。

すると……




「名乗りなさい。」




「……は?」


お嬢ちゃんの言葉に、思わず素っ頓狂な声がでる。


「相手が名乗ったら自分も名乗るのが礼儀です。」
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