烏乃唄-カラスノウタ-


話し終わっても愛はまだじっと和江を見つめたままだった。



和江は愛の頭を優しく撫でてあげた。



「ごめんね。こんな暗いお話ししちゃって。」



そう言うと愛は物凄い勢いで頭をフルフルと横に振った。


和江はその姿にクスリと笑う。



「でもなんで突然姉さんの事聞いたの?おばあちゃん、愛ちゃんに姉さんがいたって教えてないよね?」



するとまた愛は和江の事をじっと見た。


いや。


和江じゃなく和江の後ろを見ている。


和江は不振に思い愛の顔を覗き込んだ。


すると今度は愛は“和江”を見た。



「あのね、おばあちゃんの後ろに女の人がいるの。」



和江は驚き後ろを振り向いた。
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