烏乃唄-カラスノウタ-
「静香ちゃん…拓哉ね今日…コンビニに行く……途中で…車にぶつかって…」
嗚咽(おえつ)混じりの拓哉の母の言葉を聴いて静香はゆっくりと霊安室の中へと入っていった。
そこにはベッドで眠る拓哉の姿がある。
「…たっ拓哉……?」
当たり前だが返事は返ってこない。
見ている限りではとても死んでいるとは思えないほどとても穏やかに眠っている。
静香はそっと拓哉の頬に手を添えた。
それはとても冷たくて嫌でも拓哉が死んでいるという事実を突きつけられる。
死を理解した途端静香の瞳から雫が零れた。
「な…んで……?明日は朝練ないから一緒に行こうって約束したじゃない…っ……拓哉!!」