烏乃唄-カラスノウタ-
しかし静香が行くと逆に拓哉の歩みは止まってしまった。


おまけに顔を見るとどこか物悲しそうな表情をしている。



「拓哉!あの…何て言うか…突然死んじゃうからびっくりして…」



拓哉は表情を変えず静香を見つめる。



「いつも全然可愛いようなこと言えなくてごめんなさい!…それから…ック…全然言って…っ…あげな…ヒッ…かったけど…私も…ック…拓哉大好きだよ………お願い…ッ逝かないで…!」



嗚咽混じりで言葉を紡ぐ。


静香は拓哉からの言葉を待ち、拓哉の顔を見る。


しかし拓哉は何も反応しないしずっと悲しそうな表情を崩さない。


どうしたのかと心配する静香は不安の眼差しを送ると漸く拓哉は口を開いた。
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