烏乃唄-カラスノウタ-
拓哉は先程から自分が“静香”と呼ばれる事に疑問を抱いていた。


しかし自分の容姿を見て一気に記憶がフラッシュバックされた。



自分が既に死んでいる事。


静香が『烏の唄』を歌った事。


そのために自分と静香が入れ替わり自分が現世へ戻ってきた事。



今自分が静香の身体でこの世界に立っている理由を理解した。



(本来静香は死ぬはずじゃなかった。なのに…)



「静香?そろそろ下に戻りましょ。」



静香の母に話しかけられ拓哉はそちらに振り返る。



「おば…お母さん。」



屋上のドアから中に入ろうとしていた静香の母を呼び止めた。



「実は俺は静香じゃなくて拓哉なんです。」


「えっ?」
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