烏乃唄-カラスノウタ-
しかし時既に遅く拓哉はフェンスの外の縁に降り立った。



「静香!何しているの!?危ないから早くこっちに戻って来なさい!!」



静香の母が血相を変えて叫ぶ。


だが拓哉は聞き耳持たず、静かに目を閉じる。



(大丈夫。どうせ一度は死んだんだ。静香…今行くからな…)



すると拓哉は飛び立った。


先に逝った静香のもとへ逝けるよう願いながら…


同時に一羽のカラスが空へと消えた。








-10番 烏の唄-終わり
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