烏乃唄-カラスノウタ-
「まさか…崖…」
実はトンネルを抜けて真っ直ぐ進むと目の前に崖が現れるのだ。
急カーブになっているのでとても前が見えない状況で曲がりきることはできない。
良枝は運良くあの時車が止まったが、もしあのまま車を走らせていたら確実に崖の餌食になっていただろう。
「そ。みんなあの崖に落ちたから次の日から学校来なくなったの。あの霊たちはあの崖に落ちて死んだ人達だから忠告聞かなかった人を仲間にしてるの。」
山口の顔がどんどん怖くなっていき、良枝は冷や汗をかきはじめた。
「…そういうこと…知っててなんで教えてるの?!」
良枝は力強く言ったつもりだったが声は震えていた。
「なんでって…」
山口は目を見開き、口を裂けてしまうぐらいつり上げてニヤリと笑った。
「仲間…増ヤサナイトサビイシモン!先生モ…死ネバ良カッタノニネ!」
良枝は腰を抜かしてその場にへたれこんでしまった。
廊下には山口の甲高い笑い声が響いた。
‐2番 トンネルの噂‐終わり