烏乃唄-カラスノウタ-
その時だった。



ピンポーン



宏隆は固まってしまった。



「あっ誰か来たみたい」


「早紀まて!俺が様子を見る!」



立ち上がる早紀に慌てて制止の声をかける。


そして宏隆が玄関の覗き穴から様子をうかがった。



「!?ひぃ!」


「どっどうしたの!?」



そこには全身包帯だらけで焦げた着物を着た女が立っていた。


所々包帯の隙間から焼け爛(ただ)れた皮膚が覗きそれが火傷によるものだとすぐに判る。


左手には何かを入れた風呂敷袋を持ち。


右手には途中で線が切れている黒電話の受話器を耳にあてていた。
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