烏乃唄-カラスノウタ-
その時



ゾクッ



背中に悪寒が走り何かの視線を感じた薫は後ろを振り向いた。


しかし周りはいつも通りで何ら変わったところはない。



「…気の…せい?」



急に怖くなり薫は手紙をくしゃりと握ると急いで部屋へ駆け込みドアの鍵を閉めた。


この日も手紙の返事を書かず、ずっとテレビを観ていた。








次の日、学校から帰ってきた薫は恐る恐る郵便受けを開けてみた。



「…ある」



そこにはしっかり手紙が入っていた。


薫はまたすぐに封を開け読み始めた。




『 瀬川薫様

今日も手紙がありませんでしたね。もしかして毎日だと迷惑ですか?


でも私は毎日あなたと話しがしたい。


あの時後悔した分、今このまたとないチャンスにあなたともっと話しがしたい。


ところで昨日のお笑い番組面白かったですね。薫さんはお笑いが好きなのですか?

駒形尚人』
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