烏乃唄-ｶﾗｽﾉｳﾀ-

数日後手術前



「あのっ豊島先生。本当にありがとうございました。」


「何を言っているんだい。そういう事は手術が終わってから言ってくれ。
それに私達も未来の政治家を殺す訳にはいかないからね。」



実は慎一郎の父は現在文部大臣を務めているのだ。


そして慎一郎自身も近いうちに政治の世界に仲間入りすると期待されているのだ。



「それでは行きますよ？」


「はい。お願いします。」



こうして慎一郎の手術が始まった。






手術終了後、手術室から出てきた豊島の前に慎一郎の母が駆け寄った。



「あのっ先生！慎一郎は…」


「はい。無事成功しました。あとは術後慎一郎さんの体が移植した肝臓を受け入れるかどうかです。

まだ気は抜けませんが取り敢えず一段落です。」


「そうですか。ありがとうございます。」



慎一郎の母は深々と頭を下げた。