烏乃唄-カラスノウタ-
その発言に慎一郎は生唾を飲み込む。



「権力がある奴だけ助かるなんておかしいじゃねーか!」



男性は慎一郎の胸ぐらを離すと後ろを向いた。



「だから俺は決めた。俺が死んだら豊島に復讐してやるって!」



慎一郎ははっとした。


この人も彼のいう“臓器工場”の“商品”の一人なら今は動けないはず。


なのにこんなに自由に動ける理由は一つしかない。



「あなた…まさか……亡くなられたんじゃ…」



男性はゆっくり慎一郎の方を振り向いた。



「ええ。死にましたよ?今日あなたに肝臓を持っていかれ、豊島が契約している他の病院の患者に心臓取られてね。」


「え!?」



慎一郎は自分が今日手術した辺りに触れた。
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