烏乃唄-カラスノウタ-


「じゃあここにあなたの肝臓が…?」


「そう。」



男性はゆっくり慎一郎に近づいてきた。


慎一郎はなんとなく後退りする。



「私決めたんですよ。死んだら豊島に復讐すると。それから…」



男性の近づいてくるスピードが上がり慎一郎が逃げるよりも早く慎一郎を捕らえた。


そして男性は充血した目をカッと開き己の手を慎一郎の肝臓部分に突っ込み叫んだ。



「奪ワレタ臓器ハ全部取リ返シテヤルッテネ!!!」


「うっうわぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!」



男性は慎一郎の体の中をかき回し肝臓を探した。



「やめっ止めてくれ!!」



慎一郎が必死に抵抗しているとどこからか聞き覚えのある声が聞こえてきた。



――……ちろっ…し…ちろ……慎一郎!!!
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