烏乃唄-カラスノウタ-
愛が部屋を一通り物色し終わると和江の前にやってきた。



「ん?どうかしたの?」



和江は愛の頭を優しく撫でてやり愛の様子をうかがう。


しかし愛は黙ったままじっと和江を見つめている。


一分近く和江を見つめると愛はようやく口を開いた。



「ねぇおばあちゃん。昔誰かおばあちゃんの知り合いの人、死んだ?」



あまりに突然の質問に和江は驚いてしまった。



「愛ちゃん?何いってるの?」


「昔誰か…おばあちゃんと仲良しだった人…女の子」



愛は淡々と言葉を紡ぐ。


和江は愛の言葉でふとある人の事を思いついた。



「愛ちゃん。確かに昔おばあちゃんの“お姉ちゃん”が亡くなったわよ?でもなんで…」
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