†赤髪の冒険者ジーク外伝†~誓いの日~
「…!」
ベッドサイドに黒い人影が現れた。
影は私を見下ろしクスクスと小声で笑った。
少し癖のあるその笑い声に私は聞き覚えがあった。
「デニス!」
“やぁシールズ、久しぶり。”
明るい栗色の髪に縁取られた病的な程白い顔、その中で最も存在感のある漆黒の大きな瞳を悪戯っぽく輝かせたデニス・クレールは、私のベッドの横にある椅子に静かに腰を下ろすと、私の顔を観察でもする様にジッと凝視した。
その何もかも見透かす様な眼差しに私は耐え切れず、思わず顔をあらぬ方向に背けた。