†赤髪の冒険者ジーク外伝†~誓いの日~
「デニス、君は本当に偉いな。」
シールズの言葉に、デニスの表情が曇り、彼はそのまま俯くと小さな声で呟いた。
「…偉くなんかないよ。僕だって本当は弱い人間なんだよ。周りの人間に言われる通りの自分になりたくないから、君のように生きたいから…僕は…。」
「デニス?」
急に沈んだ彼の表情を見て、シールズは首を傾げた。
「僕の夢は画家になる事って言うのはシールズも知っているよね?生まれつき胸に病を抱えている僕は君のように剣を振るう事も走る事も出来なかった。代わりに神様が僕に与えてくれたのは絵筆を握る事。だから僕は毎日絵を描き続けた。」
デニスは、青い空を見上げ呟くように言った。
その横顔を見つめ、シールズは言葉を繋げた。
「君の努力は良く知っているよ。君が毎日カンバスと向き合っている事は俺の日々の鍛錬と相違が無いと思っている。」
シールズの言葉に、デニスは薄く微笑み返し言葉を続けた。