†赤髪の冒険者ジーク外伝†~誓いの日~
「そうか。デニスも春からはガレリアの画学生か。」
シールズは、デニスの顔をマジマジと見つめ感慨深そうに言った。
「シールズったら、まるで父親か何かみたいな顔をしてるよ。これから大事なお願いがあるのになんか頼み難いなぁ。」
デニスは陽気に言うと、彼に向き直り背筋をスッと伸ばした。
「俺に頼み?」
「うん。僕に画家としての最初の仕事をさせて欲しいんだ。」
「…仕事?」
シールズの問いに、デニスの黒曜石の様な瞳がキラキラと輝いた。
「僕に、君の肖像画を描かせてくれないかな。騎士の正装に身を包んだ君の姿を僕の処女作にしたいんだ。」
「……。」
「…駄目かな?」
デニスの瞳には今までには見たことの無いような輝きが宿っていた。
その輝きは、今まさに戦場へ向かう騎士の戦いへの決意を込めた瞳の輝きに似ていた。