†赤髪の冒険者ジーク外伝†~誓いの日~
「デニス。頼むから無理はしないでくれ。」
「ありがとう、シールズ。君の言う通り今日の制作はやめにするよ。」
「ああ、その方がいい…。」
素直に頷くデニスにシールズは穏やかな眼差しを送り、今脱いだばかりの上着を再び着込むと彼に背を向け扉に手を掛けた。
「待って、シールズ。」
「何?」
背後の声に、彼は振り向いた。
デニスは少し緊張した面持ちで立ち、シールズを見つめていた。
「昨日の夜にね、絵の構図が決まったんだ。それで明日から塗りの作業を始める事にしたよ。」
「そうか。いよいよ…。」
「うん。だから…悪いんだけど、絵が完成するまで暫く君に会えないと思う。」
「…つまり、ここへ来ない方が良いってことだな?」
「うん…ごめん。」
デニスは組んだ両手の指先に視線を落とし、口を噤んだ。
「解った。」
シールズは彼の申し出に頷き、“それじゃあ…又”と手を上げるとアトリエを後にした。