†赤髪の冒険者ジーク外伝†~誓いの日~
シールズがデニスと会わなくなってから、数週間が過ぎた。
暑い夏はあっという間に過ぎて行き、秋の気配がすぐそこまで迫っていた。
折しも外は、激しい雷雨見舞われ魔都の家々も固く雨戸を閉ざし家人は息を潜め嵐が通り過ぎるのをジッと待っていた。
ドンドン…ドンドン
エリヒシュッツ家の玄関の扉を誰かが叩いている気配に、シールズは階下へ駆け下り扉の小窓を覗いた。
窓の外には小さな少女が、雨具も着ずに雨に打たれて佇んでいた。
「君は…。」
「ティアナ・クレールです。シールズさん、兄がこちらへお邪魔していないでしょうか?」
「…いや。デニスは来ていないが。彼がどうかしたのかい?」
「兄の行方が…わからないのです。」
吹き付ける雨に全身をぐっしょりと濡らした少女は寒さに身を震わせながら縋るような瞳をシールズに向けた。