†赤髪の冒険者ジーク外伝†~誓いの日~
「デニスがいなくなったって…一体いつから?」
「解りません。いつも兄は殆どアトリエから降りてこないので。私、嵐が怖くて兄と一緒にいようと二階へ上がっていったんです。そうしたら部屋はもぬけの空で…。」
「何てことだ!こんな嵐に外へ出るなんて正気の沙汰じゃない!」
シールズは叫び、少女の世話を使用人に頼むと油を塗ったコートを着こみランプを掴み豪雨の中に飛び出した。
(デニス!君は一体何を考えているんだ!)
眼も開けられぬほどの雨の中、シールズは心当たりのある場所を片端から探したが、何処にもデニスの姿を見つけることは出来なかった。
(おかしい。これだけ探しても見つからないなんて…。)
彼は、泥水を跳ね上げ往来を駆けながらもう一度デニスの立ち寄りそうな場所を冷静に思い浮かべた。