†赤髪の冒険者ジーク外伝†~誓いの日~
「あれは!」
彼は畔に立つ樺の木の根元に、脱ぎ捨てられた服の塊を見つけた。
それはデニスのものに間違いなかった。
慌てて彼は水際に駆け寄り、身を乗り出すと暗い水面をランプで照らした。
(確かここは…中央に向かうほど水深が深くなっていたはず…。)
「デニス!デニスーッ!」
シールズは声を限りに友の名を叫んだ。
しかし、瞬く間に激しい風が体を包み、彼は息が出来ず激しく咳き込んだ。
バチャッ…ザバッ
木々の唸り声に混じり、水面に水が跳ねる音がした。
シールズは、音のした方角に灯りを向け雨が流れ込む眼を凝らした。