†赤髪の冒険者ジーク外伝†~誓いの日~
「ティアナ…。」
「シールズ様…。」
「すまない。又、君に恐ろしい思いをさせてしまったね。もう大丈夫だ。さぁ…。」
彼女の名は、ティアナ・クレール。
八年前から我が家に仕え、男所帯のエリヒシュッツ家を影で支え続けてきた娘だ。
私は、暴れるこの身体を身を挺して止めてくれた彼女の肩を左手で軽く叩き、体を起こすように促した。
ティナは自分の置かれている状況に慌て飛び起きると、乱れた髪を整え居住まいを正した。
「魔道医師の調合してくれた薬は傷の痛みには良く効くのだが、幻覚作用が強くていけないな。ティアナ、悪いが後でもう少し効き目の弱い薬を処方して貰ってくれるか?」
「でも、それではシールズ様がお辛くなります…。」
ティアナは、私の右手を見つめ小さな声で答えた。