†赤髪の冒険者ジーク外伝†~誓いの日~
「…右手の傷みか…。ティアナ、私は傷が癒えても二度とこの手に愛剣ムーン・エッジを握ることは出来ないのだよ。ならば急いで傷を治す必要などないではないか。」
「シールズ様…私は…。」
「ティアナ。シャツが汗で濡れてしまった…着替えと湯を頼む。」
ティアナは私の頑なな言葉に戸惑い、黒目がちな愛らしい瞳にうっすらと涙を滲ませた。
しかし、とうとう居た堪れなくなったのか深々と頭を下げると逃げるように部屋を出て行った。
(…すまないティアナ。まだ体が思い通りにならないからといって君に八つ当たりをするとは…。25歳の大人がすることではないな。)