†赤髪の冒険者ジーク外伝†~誓いの日~

今から丁度一週間前…。

私は“破壊の石”と呼ばれる隕石の落下事件を調査中、右手首を部下のファレル・レオンバルトの右眼に宿る邪眼によって一刀のもとに切断された。
その直後ファレルは逃亡し、私の親友ジーク・ドレイファスも彼を追跡する為に騎士団を去った。

二人が彼方に消えた後、私は魔道騎士アルフォンス・ファーガソンと副支団長ブレイド・バルビエリに救出されそのまま魔都へ戻り、数日間傷口の炎症による高熱が見せる悪夢に魘され続けた。


(この、手首のない棍棒の様に歪な物が私の腕だというのか?本当にこれが…数日前迄剣を自在に操り、友と杯を交わしていた私の右手なのか?)


「くっ…右手が痛い。」

すでに失われたはずの右手なのに、未だにそこにあるかのような感覚は生々しく残っている。
傷口の激痛はやがて全身に広がり、心臓の動きに呼応するように激しく疼いた。


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