[短編] 題名のない出逢い
29話 「駅のホーム」
人は、流れていく。
みんな、旅路を急いでいるのか
何もなかったかのように
僕に振り向きもせず
電車に
足を運んでいった。
「羽田 羽田 出発します。」
電車アナウンスが、放送された。
「プー プー 」
電車は、ゆっくりと進んでいく。
僕は、君と
いや
あおいと出逢った時を思い出した。
あの時
立ち尽くし
泣いてる君を
見守るしか出来なかった。
あの日
あの時
君と出逢えて
本当に良かった。・・・・
溢れ出る思い出を
涙に変えて
搾り出した 言葉を・・・・
「・・・・ありがとう」
進んでいく電車に そう叫んだ。
「バカ・・・・」
過ぎ去った電車の向こうに
君は、・・・・・・・・
また 泣いていた。