海,テトラポッド,そして花火。
「明日。
僕とデートしてよ。
僕,地元に帰ってきたら“イオリ”のオムライスが食べたくなるんだよね。
おごるからさぁ。
お土産もあるんだよ?」



イヤ,とは言えなかった。

話すときにあの目を細める表情からは逃れられなかったから。



「明日…。」


「うん,そう。
今夜,また電話するからさぁ。
今度こそは出てよね。」

私は軽く頷くと,あの人はじゃあね,と言って,綺麗な手を上げて去っていった。
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