海,テトラポッド,そして花火。

「今朝さぁ,私がサツキんちから帰るときに,三上さんに捕まった。」


「……。」


「『明日デートしようよ。』ってあの甘い声で言われたから,私…逆らえなかったよ。
やっぱ,三上さんがまだ生きてるんだね。
辛い思いしても,その人との思い出って,いいことしか残らないじゃない?
自分がイヤだよ…。
もっと前向いて生きたいのに,過去に引きずられて。」


マスターが出したコーヒーをひとくち飲んだ。
ここは,マスターブレンドが最高に美味しい。
でも今日はやけに苦さが頭に響いた。