海,テトラポッド,そして花火。
二人でくるっと回れ右をして,登ってきた坂を下ろうとしたところで,声がした。


「僕を避ける気かな?」


私はこの声を無視できない。

それをわかっている創佑は,諦めた顔で私を見た。


「俺,帰るよ。
あとで電話して。」

そして小さな声で,がんばって,と言って,手を振りながら坂を下っていった。


「彼には悪いことをしたかな?」


「あの,何か用…」


私が言いかけると,うちのドアが勢いよく開いた。

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