黄昏の宇宙(そら)
あまつさえ、逆に飛び出した宇宙から元
の宇宙に戻る技術等は創造すら付かなか
った。
このワームホールを自由に行き来出来る
のはレーダースの意志の力だけだった。
今、イーグルはそのワームホールから、
別次元の宇宙を眺めて居た。
ぽっかりと空いた暗闇の穴から、別宇
宙の銀河系が見える。
陳腐な言い方だが、それは神秘的で宇宙
に浮かぶ宝石の様に見えた。
事実そうなのだろう。
イーグルの宇宙も、今覗いている宇宙に
も生命体は溢れて居る筈だ。
ただ残念な事に物理的に連絡を取る技術が
見つからないだけで。
彼は思った。
神様と呼ばれる存在が居るのだとすれば、
おそらく、それを哀れの思い、レーダース
達の様な力の有る者を、この宇宙に生み出
したのでは無いかと。
だがそれは、果たして有意義な力なの
だろうか。
たとえ、コンタクトした生命体が死に
かけて居ても、滅びかけて居ても、ひ
たすら傍観するしか無い。