黄昏の宇宙(そら)
その通信が切れると同時にフックが外
され、イーグルは宇宙空間の闇に放り
出された。


彼にとっては久々の自由遊泳だった。


何の支えも無くなった時に感じる開放
感と不安感がイーグルを包む。


そう思えるのは確実に助かる見込みが有
るからこその余裕から出てくる物であろ
う。


イーグルは簡易推進装置を噴射して自分の
向きを宇宙ステーションに向けた。


其処にはたくさんの雪が漂っていた。


イーグルは地球で一度だけ見た事が有る雪
景色に重ね合わせて、暫くの間、それを眺
めた。宇宙の雪は神秘的にも見えたが、し
かし、地球の雪景色はそれを遙かに凌ぐ美
しいものだと思った。
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