黄昏の宇宙(そら)
第2夜 蝶
イーグルは何時もの様に真空と無重力
に身を浸していた。
彼のイメージに同調する意識が見つか
った。
やや切れ長の目。
瞳の殆どは黒く宇宙の漆黒を思わせた。
額からは2本の蝶を思わせる触角。
それに併せた様な一対の羽。
女性と思われるプロポーションは鮮や
かなエメラルドグリーン。
そして頭上には大きな百合を思わせる花。
彼女はその茎にもたれ掛る様にしてイ
ーグルの意識に答えた。
かつては彼女の文明も宇宙を目指し挫
折して、その星の自然と共に暮らす事
を選択したそうだ。
彼女の星には政府など存在しない。
あえて言うならば自然の意思が政府に代
わる物と言って良いだろう。