音無の森
第一章 異世界
20XX年3月3日
あたし、佐倉あずさは高校生活に終止符を打つ最後の行事である卒業式に出ていた。
正直言って6クラス全員が主役となる卒業証書授与は1組のあたしからしたら既に自分の番が終わっているので正直座っているのすらめんどくさい。
むしろ、昨日の夜ゲームしてせいかめちゃくちゃ眠い・・・。


『卒業生退場』


その声に気づいき前を見ると担任が前に出てきてお辞儀をしているのが見えた。しばらくして、回りに座っていたクラスメイト達が一斉に立ち上がりあたしもワンテンポ遅れて立ち上がりそのまま会場を後にした。
「このまま、卒業式が終わり4月からは専門学校に通うのかぁー」とその時あたしは思っていた。


「やっと、卒業式終わったねー♪」
「そうだね」
「教室帰ったら写真撮ろう!!」
「うん」


あたしと優衣ちゃんは体育館で行われていた卒業式が終わったから二人で4階にある自分達の教室に帰るため階段を上っていた。
周りには体育館の入り口で他のクラスの友達を待っている人が多かったせいか人一人いない。
突然、前を歩いていた優衣ちゃんが階段の最後の壇を上り終わった時彼女の足元に大きな穴が開き落ちていった。
あたしもあわてて駆け寄ろうとして足を踏み込んだがあたしの足元にも大きな穴が開いていた。


「うそー!?何コレ!?」


まるで、アリスの穴みたいな穴に真っさかさまに落ちている。
周りに優衣ちゃんの姿は無い。
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