音無の森
穴に落ちている最中に気を失っていたらしく気がついたら地面と仲良くなっていた。
フとあたしの目の前で落ちて行った優衣ちゃんが気になり起き上がるとそこは学校の階段でなく森の中にいた。


「ここ、どこ・・・?」
「トリップしたみたいだな」
「はっ!?トリップ?」


あたしは突如後ろから聞こえた声にビックリして勢い良く振り向き後ろの人物にに声を掛けた。
そこにいたのは先程まであたしと同じように卒業式に出ていたあたしの彼氏の相馬だった。
だけどそこに立っていた相馬の洋服は学校指定の制服ではなくファンタジーゲームの魔術師が着るような服を着ていた。
その着こなし具合に呆気をとられながら「なに、その格好・・・」と呟くと相馬はため息混じりに「自分の格好を見て見ろよ」と言われ目の前に見えた湖に駆け寄り自分の姿を見ると陰陽師のような格好をしていた。


「うそ・・・何コレ・・・」
「陰陽師だな」
「ってことは本当にトリップしたの!?てか、優衣ちゃんは?」
「生田も来たのか?」
「目の前で落ちていったから多分・・・。探さなきゃ!!」


あたしが駆け出そう出そうとしたのを相馬に掴まれた腕のせいで駆け出せず文句を言ってやろうと振り向くと真面目な顔を押して「このあたりはだいぶ捜したけど誰もいなかった」と言われあたしはその場に立ち尽くした。
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