白い天井~恋愛依存症候群~
「アタ、が……身をっひ、く、からっ」


ひときわ激しい嗚咽が耳を打った。


その言葉に、少しずつ、本当に少しずつ、感覚がかえってくる。


ざわざわと聞き取れなかった喧騒が、男の声だとわかった。
店の奥を、長い茶髪の店員が歩いていくのが見えて……。


アタシ、なんで携帯出したんだろ……?


握りしめて熱くなった携帯に気づいた。


耳が、目が、手が、すべての感覚が感じられると、体中にゆらり渦巻く暗雲が、一気に激情に変わった。


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