白い天井~恋愛依存症候群~
でも……。

いらないのは、アタシの方だから。


ユウヤはきっと、あんなこと言いながら、たぶん、今だって他の女を抱いている。
そういう、男だ。


時計を見れば、短針が2を指していた。

アタシは冬眠明けの熊のように、むっくり、重たく起き上がる。
こんな時間なら、家中寝静まっていることだろう。面倒な会話を交わさずに済む。


お風呂、入ろ。


なんだか、やけに頭がどんよりとして苦しい。
自分も、何もかもが、遠く感じる。

思いきり殴られたって今なら痛くない、そんな気がした。


階段を下り洗面所に入ると、乱雑に脱いだ服を、投げ捨てる。
追い炊きしながらぬるい湯船に浸かると、自然と、大きなため息がもれた。


アンタ、幸せが逃げるよ。


ため息を聞きつけると、母が必ず言う言葉。

でも、幸せなんか、手元にない。
アタシの幸せは、ため息をつく前に消えてしまった。
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