白い天井~恋愛依存症候群~
ピチョン……


天井から、滴が落ちる。

ぬるい湯の中、どっぷり首まで浸かって、アタシは眩しい電気から目を逃がした。


このまま、溶けてなくなっちゃえばいいのに。


本気で思った。


大震災なんかが起こるなら、どうせなら、今がいい。
たとえ隕石が降ってきたって、どうでもいいから。


涙が枯れた時から……自分がここにちゃんと生きているのか、自信がもてなくなっていた。


すべては夢なのかもしれない。
アタシが、こうして存在していることさえ……。


ザバ……ッ


波を立て洗い場へとあがる。
夜気は初冬の冷たさを含み、あたたまりきらない肌からあっという間に熱を奪った。

惰性と習慣で、アタシは体をゴシゴシ洗う。

見るともなしに辺りを眺め、ふと、鏡の脇に置かれたカミソリに、気づいた。
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