白い天井~恋愛依存症候群~
チリリッ


ぃつ……っ


やっぱり、痛い。

カミソリを置き、アタシは手首をじっと見た。

じんわり

まだ水気の残るそこに、じわじわと赤い花が広がり始める。

滴るには少ないけれど、確かに、アタシの中を流れているもの。

ぺろりと舐めると、ほんのり鉄臭い、独特の味。


アタシ……


急にドキドキと全身が脈打ち始めた。
押さえつけられていた何かが放たれたように、心臓の音が大きくなる。


アタシ、生きてる。


わかりきったことなのに、激しく、衝撃的だった。

消えてなくなりたいと願い、もはやこの世に希望はないと思うのに、アタシは、しっかり、生きている。

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