白い天井~恋愛依存症候群~
「あのさ」


呼び止められる前に、と思ったものの、彼の逡巡は予想よりも短かった。

聞こえないふりなんて、まだできる距離ではない。


「幸せ、だよな?」


振り向くアタシを見つめる視線は真摯だった。

突然の、ドラマのようなセリフにびっくりして彼を見て、真っ直ぐなその目に、また、たじろいだ。


瞬間の迷い。

アタシは今、幸せだろうか。


今……いや、彼と別れてから今日まで、幸せだったのだろうか……。


嫌いになって別れたわけじゃあない。

ただ、より必要とされるほうに、流れていった。ただ、それだけの別れだった。
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