白い天井~恋愛依存症候群~
「今帰りか?」


…………あ、れ?


聞き覚えがあることは確かだけれど、予想とは違う、男の声。

アタシは恐る恐る、声の主に振り向いた。


「…………なんだぁ……」


ほっ、と肩の力が抜ける。


「びっくりしちゃった。
最近、よく会うね」


4年生がこんな時間に帰るなんて、珍しい。

その思いを感じ取ったのか、彼はこの暗い中でもはっきりとわかるくらいニヤリと笑った。


「卒論、あげてきた」


だからもう、泊まり込む必要はない。


「そうなの?おめでとう」


未だ去らないユウヤが気になるからこそ、あえてアタシは彼との会話を弾ませた。
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