白い天井~恋愛依存症候群~
「……待ってよ」


そんな小さな声なんか、聞こえない。


「お願いだから」


いまさらなんだって言うの?


もう頬の涙は乾いた。
こんなヤツのために泣いたなんて、もったいない。


「薬は、あるんだ。ホントだよ。飲もうとしたんだ。
……でも、チサが心配してくれたから……だから飲むの、やめたんだ」


必死という表現がぴったりだった。

ユウヤは、なんとかアタシを留めようと、 しゃべり続ける。


「怖くなったんだ。チサのメール見たら、嬉しくて……」


玄関に向かうアタシの後ろを、ユウヤは子犬のように追いかけてくる。


「あんなに心配してくれる人、いなかったから。
まさか来てくれるなんて……ホントにホントに嬉しくて」


嬉しかろうがなんだろうが、そんな自己満足に使われちゃあ、たまらない。
< 20 / 254 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop